この記事では、Windows環境のClaude Codeで実際に試した結果をもとにまとめています。
「Claude Code、ターミナルで使っているけど、VSCode拡張も気になる。」——そんな人は少なくないはず。同じタスクをCLIとVSCode拡張でそれぞれ頼んで、どこがどう変わるかを比べてみた。複数ファイルをまとめていじる場面や、コードの変更箇所を確認する場面で、VSCode側がどれだけ見通し良くなるか。逆にCLIの方が手軽な場面も出てきた。
この記事で確かめること
Claude CodeをVSCode拡張(IDE統合)で使い、CLI(ターミナル)単体と比較して、どの場面で操作が楽になるかを確かめる。
前提として、Windows 11でVSCode 1.98.0以上、Claude Pro以上のプランを利用している。入力はCLIとVSCode拡張の両方で自然文の依頼を投げる形式。
VSCode拡張のインストールや初期設定そのものは「はじめ方」記事に譲る。両方の環境がすでに動く状態からスタートする。
前提——準備しておくこと
検証に必要な前提を箇条書きで整理する。
- OS: Windows 10 または 11
- VSCode: バージョン 1.98.0 以上(拡張機能の動作要件)
- Git for Windows: インストール済み(WindowsでのCLI版の動作に必要。WSL環境の場合は不要)
- 拡張機能: VSCodeマーケットプレイスで「Claude Code」を検索し、発行元が Anthropic のものをインストール済み
CLI版とVSCode拡張の両方が動く状態で始める。インストール手順の詳細は別記事を参照。
やりたいこと——同じタスクをCLIとVSCodeで比べる
実務で普通にありそうなタスクを題材にする。今回は、10ファイルほどの架空プロジェクトで、ファイルのリネームとディレクトリ整理を頼む。
架空のプロジェクト構成はざっくり次の通り。
my-sample-project/
├── src/
│ ├── main.py
│ ├── helper.py
│ ├── utils_old.py
│ └── formatter.py
├── tests/
│ ├── test_main.py
│ └── test_helper.py
├── README.md
├── CHANGELOG.md
└── notes.txt
中身はダミーコードとダミーテキスト。このプロジェクトのファイルを整理するよう、CLIとVSCode拡張にそれぞれ同じ依頼を出して、操作感を比べる。
Step 1: 最初の依頼——CLIで頼んでみる
CLI(ターミナル)で最初の依頼を出す。プロジェクトフォルダに移動して claude コマンドで起動し、次のように頼んだ。
このプロジェクトのファイルを整理して。utils_old.pyとnotes.txtは不要だから削除。残りのファイルは適切なディレクトリに配置し直して。OSはWindowsです。
OSを指定した理由は、環境に応じた手順のズレを防ぐため。
しばらく待つと、Claude Codeが変更内容をテキストで報告してきた。出力の一部を引用する。
utils_old.pyとnotes.txtを削除しました。main.py、helper.py、formatter.pyはsrc/ディレクトリに配置し、test_main.pyとtest_helper.pyはtests/に整理しました。README.mdとCHANGELOG.mdはプロジェクト直下に維持していますが、内容の更新は行っていません。
コードファイルの配置は整った。ただし、READMEとCHANGELOGの中身については手が入っておらず、古い記載のまま残っていた。
CLIでの確認は、出力されたテキストを目で追う形だ。どのファイルが移動され、どれが削除されたかは、報告文を読んで把握するしかない。変更が複数ファイルに及ぶと、ターミナルの履歴を遡る手間が生じる。
Step 2: 最初の結果——VSCode拡張で同じことを頼んでみる
同じ依頼文をVSCode拡張のチャットUIに入力する。VSCodeのサイドパネルにチャット画面が開き、そこに自然文を入力する形だ。依頼内容はStep 1と同じ。
出力の一部を引用する。
不要なファイル(
utils_old.py、notes.txt)を削除しました。ソースファイルはsrc/ディレクトリに、テストファイルはtests/ディレクトリに配置しました。README.mdとCHANGELOG.mdはプロジェクト直下に残しています。内容の更新は別途ご指示ください。
結果自体はStep 1とほぼ同じ。コードファイルは整理され、READMEとCHANGELOGの中身はそのまま。「内容の更新は別途ご指示ください」という一文がStep 1にはなかったが、本質的な差ではない。
違いが出たのは確認のしやすさだ。VSCodeでは、変更されたファイルがエディタ上で色付きの差分として表示される。どの行が追加され、どの行が削除されたかが、テキストを目で追わなくても視覚的に分かる。複数ファイルを跨ぐ変更でも、ファイルツリーで変更箇所がハイライトされるため、「どこが変わったか」の全体像を掴みやすかった。
Step 1と同じ観察をここでもした。コードファイルの配置は整ったが、READMEやCHANGELOGの記載内容は古いまま。整理の範囲がコードファイルに偏っていた。この点を踏まえて、Step 3で修正指示を出す。
人が確認したのは、CLIと同じ変更内容になっているかと、差分表示が正確に反映されているかの2点。
Step 3: 修正指示——ドキュメント系ファイルも整える
Step 1とStep 2でコードファイルの配置は整ったが、READMEとCHANGELOGの中身が古いままだった。プロジェクト構成が変わったのに文書が追いついていない。
READMEに現在の構成を反映し、CHANGELOGに今回の変更を記録する——この2点をCLIとVSCode拡張にそれぞれ指示した。
CLIとVSCode拡張にそれぞれ次の修正指示を出した。
README.mdに今のプロジェクト構成と使い方を追記して。CHANGELOG.mdにも今回の変更(不要ファイル削除、ファイル整理)を書き加えて。
CLIでの修正結果
CHANGELOG.mdは次のように書き換えられた。
変更前:
## 2025-01-10
- Initial release
変更後:
## 2025-04-22
- Removed `utils_old.py` and `notes.txt`
- Reorganized source and test files
## 2025-01-10
- Initial release
README.mdにはプロジェクト構成と簡単な説明が追記された。CLIでは変更内容をテキストベースの報告で確認する。差分を目で追うには、報告文を読むか git diff を別途実行する必要がある。
VSCodeでの修正結果
同じ修正が適用された。VSCodeでは、変更箇所がエディタの差分表示(赤い削除行・緑の追加行)で確認できる。
formatter.py のインポート文も、修正の過程で整理された。
変更前:
import os
import sys
import unused_module
from pathlib import Path
変更後:
import os
from pathlib import Path
使われていない sys と unused_module が削除され、インポートがすっきりした。この変更もVSCodeの差分表示で一目で確認できた。CLIでも同じ変更が入っていたが、報告文を目で追わないと気づきにくい変更だった。
なぜこの修正指示を出したかというと、Step 1/2でコードの配置は整ったものの、プロジェクトの文書が更新されていないことに気づいたから。READMEを見た人が現在の構成と合っていないと混乱する——その観点から修正に繋げた。
Step 4: どこまで頼むだけでできた?——AIと人の分担
修正後の最終結果を確認し、AIに任せられたことと人が関与したことを整理する。
VSCode統合が特に有利だった場面:
- 複数ファイルの変更内容を、ファイルごとの差分表示で一気に把握できた。
formatter.pyのインポート整理のように、意図しない箇所の変更にも気づきやすかった - プロジェクトのディレクトリ構造がエクスプローラー(ファイルツリー)と連動しているため、ファイルの増減が視覚的に分かる
- 編集後に構文エラーが出た場合、VSCodeのエディタ上で赤い波線が表示されるので気づきやすかった
CLIでも同程度にできた場面:
- ファイルの移動・削除・リネーム自体はCLIでも問題なく実行された
- 依頼文に対する出力の内容は、CLIとVSCodeで大きな差がなかった
CLIの方が適している場面:
- 単発の短い指示(「このファイルを削除して」等)は、ターミナルを開いて一行書く方が早い
- バッチ処理やスクリプト化した定型作業はCLI向き
- GUIが不要なサーバー環境やリモート環境ではCLI一択
(CLI適シーンの詳しい背景は、振り返りで触れる)
危険度の3段階整理(今回の検証に基づく):
- 比較的任せやすい: ファイルの移動・リネーム、不要ファイルの削除(削除対象が明確な場合)、空行の削除
- 条件付きで使える: 複数ファイルの一括変更、ドキュメントの更新(変更後に中身を確認する前提)、インポート文の整理
- 必ず確認すべき: インポート文の削除(動作に影響する可能性があるため)、コードの意味的な変更
初回依頼から修正後の確認まで、合計4回のやり取りがあった。
この検証の振り返り
依頼文の書き方のコツ:
用途を書き添えると結果が変わる。「ファイルを整理して」だけでも動くが、「不要なものは削除し、残りは適切なディレクトリに」と書くと、意図が伝わりやすかった。OSを指定するのも有効——環境に応じた手順のズレを防げる。
修正指示の出し方のコツ:
Step 1/2で「ドキュメント系ファイルの変更が薄い」ことに気づいたら、その観察をそのまま修正指示に繋げる。「READMEに今の構成を反映して」のように、何をどう直したいかを具体的に書くと、修正が安定した。
VSCode統合が向いている人:
すでにVSCodeを使っている人や、複数ファイルを頻繁に編集する人には向く。逆に、ターミナルで十分と感じている人や、エディタを立ち上げるまでもない単発作業が多い人には、CLIの方が手軽だろう。
VSCodeで複数ファイルを確認しながら作業したい人には向く。一方、単発の削除や定型作業が中心なら、CLIの方が手早い場面もある。
今回の検証条件は、10ファイルの架空プロジェクトでの確認に過ぎない。もっと大きなプロジェクトや別の種類のタスクでは結果が変わる余地がある。
次に試すなら
VSCode拡張のインストール手順は「はじめ方」記事で丁寧に解説している。
次に試すなら、自分の実際のプロジェクトでVSCode拡張を使ってみるのがいい。架空のプロジェクトより、自分が把握しているコードの方が「どこが変わったか」の確認が取りやすい。CLAUDE.mdの設定やAPIキーの管理など、高度な設定への導線も別記事で扱っている。
複数ファイルの変更を見ながら進められるのがVSCode統合の利点だ。変更内容を確認し、必要ならその場で追加修正できる。まずは自分のプロジェクトで試して、CLIとの違いを体感してみると良さそう。
まとめ
VSCode統合は複数ファイルを跨ぐ変更や差分確認でCLIより明らかに楽になる。逆に単発の指示や定型作業はCLIが適している。10ファイルの架空プロジェクトでの確認に過ぎないが、使い分けるのが実務的な着地点と言えそうだ。
今回の結果は、利用モデル、接続先、時期、環境によって変わる可能性があります。再現する時は検証条件もあわせて確認してください。
